微分@その2@何が分かるのか

参考文献及びWEB

参考文献

(1)「電気・電子工学のための数値計算法入門」橋本修著 総合電子出版社
(2)「ディジタル信号処理技術」玉井徳みち、長島厚、藤田泰弘、若井修造著 日経BP社
(3)「よくわかる有限要素法」福森栄次著 Ohmsha

参考WEB

http://szksrv.isc.chubu.ac.jp/java/physics/rlc/rlc0.html

http://www.asahi-net.or.jp/~jk2m-mrt/kiso_RLC.htm

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%A7%92%E9%96%A2%E6%95%B0

http://www.cmplx.cse.nagoya-u.ac.jp/~furuhashi/education/CircuitMaker/chap1.pdf

http://www.akita-nct.ac.jp/~yamamoto/lecture/2003/5E/lecture_5E/diff_eq/node2.html

http://chemeng.on.coocan.jp/cemath/cemath08.html

http://homepage3.nifty.com/skomo/f6/hp6_3.htm

http://homepage1.nifty.com/gfk/rungekutta.htm

あわせて読む

(a) 微分の説明

微分方程式の解を求める

(b) 微分方程式の解を数値計算で求める

(c) 積分の説明

(d) 関数が微分の形 f'(x) の形で表されているときの積分値を求める

(一般的に数値積分をする意味は、関数自体が変化の式(例えば速度の関数)などで表されているとき
ある時刻から時刻までの距離を求めたいときなどで使用される。

もちろんその変化の式が、手計算によって計算可能ならば積分によって時間と距離の関係を導出し
その時間を入れることで直接距離を導いたほうが早い。

しかし、一般的に時間と距離の関係のような式自体が導出することが不可能な場合が世の中には多く
時間と速度の関係のような変化の式を見つけ出すことの方が容易なのだが、これを手計算で積分すること
は非常に難しいため数値積分が提案された)

● 微分で何が分かるのか?(高校数学の復習)

「微分とはなにか」で、微分とは簡単にいうと傾きである
ということが分かりました。

では、微分を用いて何が分かるのかを簡単に説明します。

■ 曲線の極値が分かる。

微分値が0というのは変化がないということなので、
そこには凹凸が存在します。
2次曲線の場合は、最小値 or 最大値が存在します。
それを極値といいます。

極値は、
 \frac{dy}{dx} =0
になる点です。

極値が最大値なのか?最小値なのか?は、
2階微分を行うことで求めることができます。

 \frac{d^2y}{dx^2} \lt 0だと最大値を取ります。
 \frac{d^2y}{dx^2} \gt 0だと最小値を取ります。

2つの関数の微分

xの関数である

u(x)
v(x)

があるとします。

 \frac{ d(u+v) }{dx} = \frac{du}{dx} + \frac{dv}{dx}

(例題1)
u(x)=x^2
v(x)=x^3

 \frac{ d(x^2+x^3) }{dx} = \frac{d}{dx}x^2 + \frac{d}{dx}x^3
 = 2x + 3x^2

 \frac{ d(uv) }{dx} = v\frac{du}{dx} + u\frac{dv}{dx}

(例題2)
u(x)=x^2
v(x)=x^3

 \frac{ d(x^2x^3) }{dx} = x^3\frac{d}{dx}x^2 + x^2\frac{d}{dx}x^3
 = 2x^4 + 3x^4 =5x^4

 \frac{ d(uvw) }{dx} = uv\frac{dw}{dx} + uw\frac{dv}{dx} + vw\frac{du}{dx}

Chain Rule チェーンルール

\frac{df}{dx}=\frac{df}{du}\frac{du}{dx}

(例題3)
f=\sin(\alpha x)
 u=\alpha x とする。
f=\sin(u)

\frac{df}{du}=\cos(u)
\frac{du}{dx}=\alpha
ゆえに
\frac{df}{dx}=\frac{df}{du}\frac{du}{dx}=\cos(u)\alpha=\alpha\cos(\alpha x)

(例題3-2)
 f=y^2
いま、yはxの関数であるとする。
 \frac{df}{dx} = \frac{df}{dy}\frac{dy}{dx} = 2y\frac{dy}{dx}

\frac{df}{dx}=\frac{df}{du}\frac{du}{dv}\frac{dv}{dx}

(例題4)
f=\sin(e^{\alpha x})

 v=\alpha x

 u=e^v

とする。

f=\sin(u)

\frac{df}{du}=\cos(u)

\frac{du}{dv}=e^v

ゆえに
\frac{df}{dx}=\frac{df}{du}\frac{du}{dx}=\cos(u)\alpha=\alpha\cos(\alpha x)

微分記号の表し方

関数 f(x)の点aにおける微分係数を

ラグランジュの記法

f'(a)

ゴットフリート・ライプニッツによるライプニッツの記法

\frac{d}{dx}f(a),\ \frac{df}{dx}(a),\ \left.\frac{df}{dx}\right|_{x=a}

アイザック・ニュートンによるニュートンの記法

\dot{f}(x)|_{x=a}

で表す。

高階微分

微分可能な関数 f(x)の導関数f'(x)
がさらに微分可能なときf'の導関数をf''と書いて 2 階の導関数と呼ぶ。

一般に n階微分可能な関数f(x)n階微分を

f^{(n)}(x)

あるいは

\frac{d^n}{dx^n}f(x),\ \frac{d^n f}{dx^n}

などと記す。

代表的な微分公式

いくつかの初等関数に関して、特徴的な微分公式が挙げられる。

 (x^a)'=ax^{a-1}\,

 (\sin x)'=\cos x\,

 (\cos x)'=-\sin x\,

 (\tan x)' = {1 \over \cos^2 x} = 1 + \tan^2 x

(\arcsin x)'=(\sin^{-1}x)'= {1 \over \sqrt{1-x^2}}

(\arccos x)'=(\cos^{-1}x)'= -{1 \over \sqrt{1-x^2}}

(\arctan x)'=(\tan^{-1}x)'= {1 \over 1+x^2}

 (e^{x})'=e^{x}\,

 (a^{x})'=a^{x}\log a\,

(\log x)'= {1 \over x}

(\log_{a} x)'= {1 \over x \log a}

1階線型常微分方程式

\frac{dx}{dt} = x

この斉次方程式は、次のようにして解くことが出来る。
 x\,  が恒等的に0 でないとき、方程式を変形して、

\frac{dx}{x} = dt
両辺を積分すれば、

\int \frac{dx}{x} = \int dt

\Longleftrightarrow \ln |x| = t + c

\Longleftrightarrow x = \pm e^{t+c} = \pm e^c e^t

ここでC = \pm e^{c} とすれば、
この方程式の解は x=Ce^t\, C は0を含む任意の実数)となる。

2階線型常微分方程式

 \frac{d^2 y}{dx^2} + a\frac{dy}{dx} + by=0
 y'' + ay' + by = 0

解の判定 2つの一次独立な解 y_1,y_2があって一般解はそれらの一次結合となる。
(基本解  C_1 y_1 + C_2 y_2 )

○一次独立性の判定

ロンキスアン
 \begin{vmatrix} y_1 & y_2 \\ y_1' & y_2' \end{vmatrix} \neq 0
が条件

ケース 基本解 一般解
@異なる2実根  t_1 t_2  e^{t_1 x},e^{t_2 x}   C_1 e^{t_1 x} + C_2 e^{t_2 x}
A重根  t_0   e^{t_0 x},xe^{t_0 x} (C_1 + x C_2)e^{t_0 x}
B2虚根  \alpha \pm i\beta(a,b実数)  e^{\alpha x}\cos\beta{x}, e^{\alpha x}\sin\beta{x}  C_1 y_1 + C_2 y_2

例題1


 y'' - 5y' +6y=0


 t^2 -5t+6=0
 (t-2)(t-3)=0
 t=2,3
Ans. C_1 e^{2x} + C_2 e^{3x}

例題2


 y'' +2y' +y=0


 t^2 +2t+1=0
 (t+1)^2 =0
 t=-1
Ans. C_1 e^{-x} + x C_2 e^{-x} =(C_1 + x C_2)e^{-x}

例題3


 y'' -2y' + 10y=0


 t^2 -2t+10=0
 t = 1 \pm j\sqrt{9}
 t=  1 \pm j3
 \alpha=1, \beta=3
Ans. C_1 e^{x}\cos{3x} + x C_2 e^{x}\sin{3x}

円の微分

 x^2 + y^2 = r^2

yについて解くと、

 y = \pm \sqrt{r^2 - x^2}
これはxが決まるとyがただちにきまらないからyはxの関数とはいわない。

しかしながら、x軸の上側では
 y = \sqrt{r^2 - x^2}

x軸の下側では
 y = -\sqrt{r^2 - x^2}

なので、適当な領域を定めるとyはxの関数になります。
このような関数を陰関数といいます。

円上に2点A(x,y),P(x+\triangle{x},y+\triangle{y})をとると、
それらは円の方程式を満たす。

 x^2 + y^2 = r^2 ...(1)
 (x+\triangle{x})^2 + (y+\triangle{y})^2 = r^2 ...(2)

(2) - (1)をして、\triangle{x}で割ると、

 \frac{(x+\triangle{x})^2 - x^2}{\triangle{x}} + \frac{(y+\triangle{y})^2 - y^2}{\triangle{x}} = 0

ここで、\triangle{x}\rightarrow 0の極限を考えると

 \lim_{\triangle{x}\rightarrow 0}\frac{(x+\triangle{x})^2 - x^2}{\triangle{x}} + \lim_{\triangle{x}\rightarrow 0}\frac{(y+\triangle{y})^2 - y^2}{\triangle{x}}=0 \Leftrightarrow \frac{dx^2}{dx}+\frac{dy^2}{dx}=0

ゆえに

 2x + 2y\frac{dy}{dx} = 0 よって  \frac{dy}{dx} = - \frac{x}{y}

検討してみる。
 y = \sqrt{r^2 - x^2} = (r^2 - x^2)^{\frac{1}{2}}

を微分する。

 \frac{dy}{dx}=\frac{1}{2}(r^2 - x^2)^{-\frac{1}{2}}(-2x) =-xy^{-1}=-\frac{x}{y}

 \frac{dy}{dx} は、接線の傾きであることを確かめる

円上に2点 A(x,y) , P(x+\triangle{x},y+\triangle{y})
をとって、\triangle{x} \rightarrow 0の極限を考えた時、
Pは、円に沿ってAに限りなく近づいていきます。

よって、 \frac{dy}{dx} = \lim_{\triangle{x}\rightarrow 0}\frac{\triangle{y}}{\triangle{x}}は、点Aにおける接線の傾きを表す。

よって、円上の点 (a,b) での接線の傾きは、
 -\frac{a}{b} となるので、
その点における接線の方程式は、

 y-b = -\frac{a}{b}(x-a) ...(3)

となります。

ここで

 a^2 + b^2 = r^2 ...(4)

を用いて整理すると、

 y-b = -\frac{a}{b}(x-a) ...(3)
 y-b = -\frac{a}{b}x + \frac{a^2}{b}
 y-b = -\frac{a}{b}x + \frac{r^2 - b^2}{b}
 by-b^2  = -ax + r^2 - b^2
 ax + by = r^2 ...(5)

接線の方程式は(5)とも書くことができる。

2階微分はどうなるか?

 \frac{dy}{dx} = -xy^{-1}

 \frac{d^2y}{dx^2} = -y^{-1} -(-x)y^{-2} \frac{dy}{dx}
 = - \frac{1}{y} - \frac{1}{y}(-\frac{x}{y}) \frac{dy}{dx}
 = - \frac{1}{y} - \frac{1}{y}(\frac{dy}{dx})^{2}
 = - \frac{1}{y}(1 + (\frac{dy}{dx})^{2})

円の式 x^2 + y^2 = r^2 は、円の微分方程式 \frac{d^{2}y}{dx^2} + \frac{1}{r}(1+(\frac{dy}{dx})^2)^{\frac{3}{2}}=0の解である。

いま、円の式 y = \sqrt{r^2 - x^2} = (r^2 - x^2)^{\frac{1}{2}}
が分からないとし、
円の微分方程式

 \frac{d^{2}y}{dx^2} + \frac{1}{r}(1+(\frac{dy}{dx})^2)^{\frac{3}{2}}=0 ...(6)

は分かっているものとする。

この微分方程式の解が、
 y = \sqrt{r^2 - x^2} = (r^2 - x^2)^{\frac{1}{2}}
であることを調べるには、

r=10(rはなんでも良い)でxを0から15まで変移させたときの

 y = \sqrt{r^2 - x^2} = (r^2 - x^2)^{\frac{1}{2}} (a)
 \frac{dy}{dx} = - \frac{x}{y} (b)
 \frac{d^2y}{dx^2} = - \frac{1}{y}(1 + (\frac{dy}{dx})^{2}) (c)

を計算し、(6)に代入すればよい。
(a)が正しければおのずと(b),(c)が正しいので、(6)式は右辺0になるはずである。

(6)式の検証 excelシート

yの式(a)が正しいと、円の微分方程式(6)に式を入れるとゼロになる。